ちまおblog

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火力か原子力か、業績の上振れ余地はどちらに?

円高、景気後退リスク、光熱費の高騰、電力値上げ等々から、日々電力株への注目が集まりつつある。
今回は火力発電と原子力発電について考えながら、どちらの発電の方が上振れ余地があるか考えてみる
 
〇電力会社の火力比率と電力価格
以前、日経新聞の記事でバズっていたものがあるが、そちらを参考にしながら各電力会社の火力比率と電力価格を確認し、そこから考えられることを述べてみる。

この記事の図表は凄く分かりやすく、各電力会社の火力比率と今年6月からの電気代、原発がどれくらい動いているのか知ることができる。
火力比率が高いのは沖縄電力東京電力東北電力だ。反対に低いのは、九州電力関西電力四国電力だ。
そして原子力発電が活発に行われている電力会社は関西電力九州電力四国電力だ。
 
注目すべきは電力価格で、原発がしっかりと稼働している九州電力関西電力は安い。反対に火力比率が高い沖縄電力東京電力は高いのだ。
今回の電力値上げで値上がりが顕著なのが、火力比率が高いところ、そして原発に頼っていないところであることが分かる。
原発稼働はリスクがつきものであるが、庶民の生活を考えると原発稼働に頼らざるを得ない状況にシフトするかもしれない。
 
火力にせよ原子力にせよ、原材料は外国から輸入してくる場合がほとんどである。為替に関しても軽く触れておく。

ドル円レート
電力の値上げは原材料である石油石炭などが上昇したのも考えられるが、為替も2022年10月には一時150円を突破するなど、円安に大幅に振れた。
これが調達コストをかなり押し上げ、電力会社の採算を悪化させたと言っても過言ではない。
 
〇火力発電について
ここでは火力発電についてもう少し深堀して考えていく。
下の画像は日本全体の発電方法を示した発電ポートフォリオだ。

日本の発電方法を示した発電ポートフォリオ

この発電ポートフォリオを見ると、火力発電が多くを占めている。石炭火力、LNG火力、石油火力、その他火力、これらを合わせると71.7%と驚異の火力依存が見て取れる。
火力発電比率が高いところは電力値上げをしないと採算が良くない状況を踏まえると、日本という国全体を考えると、かなり厳しい状態にあったことが想像できる。
各電力会社によっても発電ポートフォリオは違うため、個別株投資をする際には発電ポートフォリオの確認は必須事項だ。
電力ETFあたりに投資を考えている方は、こういった国全体の発電ポートフォリオを踏まえて取引していくと良いと思われる。
 
続いて火力発電に関係する原材料価格を調べていこう。
石炭価格
日本の発電ポートフォリオの26.5%を占める石炭火力。その原材料、石炭価格だ。
2022年12月あたりまでかなり高い位置で推移していたが、直近は下落傾向。石炭の大消費国家中国の経済再開の動向を見るべきだが、今後はどうなるだろうか。
 
原油CIF価格
原油見通し
原油(石油)を使っての発電はそんなに多くないが、一応火力発電なので載せておく。CIF価格は輸入時の実際に取引されている価格で、先物価格は将来の価格を示している。
実際の決算ではCIFが多く出てくるので、現実路線ではこちらを参考にして戦略を立てよう先物は将来の予測的側面があるので、先手先手を打った投資スタイルなら軽く参考にしても良いかもしれない。
 
 
天然ガス見通し
日本の発電ポートフォリオの31.7%を占めるLNG火力。その原材料、LNG価格だ。
先ほど同様、CIFを現実路線の決算予測で使い、先物を先手先手を打つスタイルで予測しても面白いかもしれない。
ちなみに天然ガス先物は既にいってこいのチャートを描いている。先日ツイートしたが、LNGを原材料につかった会社の上方修正はすごそうだ。
 
原子力発電について
日本の発電の5.9%を担っている原子力発電。
そんな原子力発電の原材料はウランによるものだ。
原子力発電のしくみ
原子炉でウランを燃やすことで電気を作っているのである。
 
ウラン先物価格
ウラン価格見通し
ウランはロシアウクライナ戦争の後に急騰し高値圏横ばいが続いている。見通しからも分かるように、原発再稼働のニュースが多く、需要は引き続き高い状態が続き、価格も高値横ばいで推移しそうである。
 
〇結論
火力比率高いほうが上振れ余地はあると思う
火力発電と原子力発電の原材料価格を踏まえると、火力のLNG価格はCIFでもう少し下振れ余地があると思われる。石油石炭は上振れ余地に中国経済再開、下振れ余地に景気後退懸念で、二つを合わせると横ばいぐらいで推移する可能性がありそうだ。
反対に原子力の原材料ウランは引き続き需要があり、高値横ばいで推移しそうだ
そう考えると、火力発電の方がこれから業績の上振れ余地があると思われる。
また、海運運賃が下落してきたことも上振れ余地にあたりそうだ。

↑発電方法で大きく異なる燃料量(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html#topic01)
ウランを運ぶために必要な船の数はそこまで必要ではない。量が少なくて済むからだ。だが、石油石炭天然ガスは船を大量に使って日本に運送する
そのため、海運運賃をこれまでたくさん支払ってきた訳だ。
よって海運指数の下落は火力の発電の会社の上振れに貢献しそうである。
 
なので、これからは火力依存が大きい電力株に投資妙味があると思われる。
ただ、現状赤字なので、配当の発表とかで乱高下がありそうなため、しっかりと調整したところを買い向かうことで良い結果が出せるかもしれない。
 
おしまい
 
 
【おまけの参考になる文献集】
関西電力が1~3月期原発比率75%程度へ
沖縄電力の値上げを受け、消費者からは厳しい意見も
7社は3〜4割ほどの値上げを申請しているが、そのまま認められるわけではない。国が内容が妥当かどうかを審査するからだ。経産省の電力・ガス取引監視等委員会ですでに議論が始まっており、1月30日には住民から意見を聞く公聴会のプロセスが始まった。(値上げは簡単には出来ない)
東電のLNG比率(LNGは全体の約7割)←すごい
関西電力LNG比率(日本のLNG輸入の一割を関西電力で)
北陸電力の電力比率(石炭火力多め、水力発電もがんばっているらしい)