ちまおblog

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電力株って今、投資タイミングなの?

最近、ニッチな投資界隈で一部の人々が目を付け始めている電力株
 
これから円高方向に進むし、23年4月から電力の値上げがあるらしいし、原油価格も景気後退を織り込み始めていて、値下がり傾向だし、これは買いなのでは?
このように考える個人投資家がじわじわと増えてきているような気がする。
 
かくいう私も電力株が気になり、分析を始めてみた。
なんとちまお君、久しぶりに5000字を超えるブログ記事の生産です。
頑張りました☆
まだまだ電力株に詳しくないため、有識者の方からすれば、『なんなんコイツ…、分かったようになっているガキがなんかピーピー言っとるぞ』と思われるかもしれないが、自分なりの見解を述べてみようと思う。
 
投資チャンスかもしれない電力株…さっそく見ていこう。
 
まずは現在の電力会社の規模感からざっと確認していく。
 
〇電力会社の規模感
1位:東京電力HD
電力首位。福島原発事故の賠償、廃炉の負担重く。一時公的管理下に。持株会社下で発送電分離も。
ホールディングス2(12)、フュエル&パワー0(186)、パワーグリッド17(6)、エナジーパートナー80(-2)、リニューアブルP0(30) <22・3>
原発の賠償は今も続いており、賠償金額は現在、約10兆5,819億円となり、とんでもないことになっている。(https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/compensation/results/)
業績の良かった2014年の当期純利益は4386億円ほど。2020年あたりで当期純利益は1800億円ほど。
直近では為替・燃料価格の影響や原子力利用率の低下などにより火力燃料費が増加したことや、卸電力取引市場からの調達費用の増加などにより他社購入電力料が増加したことによって赤字のようだ。赤字額は直近決算で1433億円ほどだ。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構というところから資金の交付を受けているようだが、莫大な賠償金を払い終わるのはいつになるだろうか。
株主への配当金もゼロが続いている。なかなか投資対象としてみることができないのではないだろうか…。
 
2位:関西電力
東京電力に次ぐ業界2位。東電と並ぶ業界の雄。原発依存度高いが代替電源確保へ。情報通信も。
エネルギー73(3)、送配電14(1)、情報通信7(14)、生活・ビジネスソリューション5(10) <22・3>
短信決算が見やすかった関西電力石炭火力は5割多角化している。19年から22年まで4年間、配当は50円ほどで、配当利回りは現在4.15%。
直近は赤字であるため、配当が出るか微妙なところ。赤字理由は東電と同上。直近決算では763億円の赤字、連結では1450億円の赤字見込み。
原発稼働中。 美浜発電所3号機、大飯発電所3、4号機、高浜発電所3、4号機、計5号機稼働中(原子力規制委員会調べ)
 
3位:中部電力
電力3位。中部財界の重鎮。浜岡原発3基停止中。火力発電は東電と統合。M&Aで海外展開加速。
ミライズ73(-4)、パワーグリッド14(-2)、JERA-(-)、他13(15) <22・3>
関東と関西の間にある中部地方で展開している中部電力電力の競合他社と比べて自己資本比率が33%と高く、安全性の高い企業だ
直近決算は競合と同様、赤字であり、426億円ほどの赤字だ。連結では1300億円ほどの赤字見込み。
過去3年間は年間配当50円を維持してきた。しかし、直近は赤字のため、配当50円は未定となってしまった。配当50円なら配当利回りは3.91%だ。
 
4位:東北電力
電力4位。東北圏6県+新潟に供給。関東でも積極販売、震災で原発3基停止。域内で大口ガス卸売り、洋上風力など再エネ開発も。
発電・販売71(-5)、送配電17(5)、建設7(4)、他5(5) <22・3>
東北圏と新潟に電力を提供している東北電力電力の競合他社と比べて自己資本比率が11.8%と低く、少し安全性に不安ありか?
この自己資本比率東日本大震災の時と同水準で、危うい。また、直近、そしてその前年と二年連続で赤字であるため、電力の値上げ申請をしたようだ。
過去6年間で配当は35~40円で推移。今年の配当は未定。配当が35円であるなら5.3%、40円なら6.1%となるが、さすがに赤字2連続であるため今年は厳しいか。
 
5位:九州電力
電力5位。全国の離島発電が集中。原発2基稼働で玄海2基は廃炉。通信に意欲的。九州財界の雄。産業向け比率が高い。海外、通信事業も育成。
発電・販売79(0)、送配電10(1)、他エネルギーサービス5(11)、ICTサービス5(5)、他1(18) <22・3>
九州に電力を提供する九州電力電力の競合他社と比べて自己資本比率が11%と低く、少し安全性に不安ありか?
数年間の決算を見たが、当期純利益が微々たる量であり、損益分岐点が高く、稼ぐという観点からは少し弱いかもしれない。
過去4年は配当30円~40円とじわじわ上昇傾向であった。しかし直近上期は無配転落。直近決算は赤字であり、今年の下期配当も厳しいかもしれない。
 
以下
6位:中国電力
7位:JーPOWER
9位:四国電力
10位:イーレックス(再エネ)
11位:沖縄電力
と続く。
 
〇発電方法をめぐる諸問題
電力を語る上で避けて通れないのが原発問題、脱炭素問題、発送電分離、新電力などだ。
ここで詳しく解説するとめちゃくちゃ長い論文みたいなつまらんブログになるので投資する上でかるーくおさえておきたいことを、かるーく書いておく
詳しい情報はグーグルで専門家の論文を見てほしい。
 
まずは原発問題。みんなもご存知の東日本大震災原発が大変なことになって、福島の人達は家族が被爆したり、家に帰れなかったり、とにかくやばいことになった。
この賠償金額は先ほども述べさせていただいたが、約10兆5,819億円と、とんでもない。
途方もない被害を出す可能性のある原発。だからこそ、原発再稼働をめぐる問題は稼ぎたいからさっさと稼働しろなんてことは言えないのだ。
 
現在の原発稼働状況は原子力規制委員会のサイトで確認できる。
関西電力九州電力原発稼働が目立つ。
 
色々負の側面が目立つ原発だが、良い部分もある。
まず、CO2を排出しないため、脱炭素的流れに沿っている。続いて発電コストが安く、安定している。現在のような石油石炭などの資源価格高騰局面では強い
中国電力のサイトが原子力のメリットを見る上で分かりやすい。
 
続いて脱炭素問題。元々日本は原発に関して進んでおり、CO2排出に関しては少なくなってきていた。つまり脱炭素には先進各国に引けを取らない強さがあった。
しかし、原発の悪い側面が東日本大震災を機に明るみになると石炭火力依存に戻ってしまった。
最近では再生エネルギーでの発電方法を増やそうとする流れもあるが、再エネ大国の欧州あたりを見ると、電力供給の脆弱性が明らかになった。
ロシアにエネルギーを依存していた部分もあるが、再エネでの電力供給は安定性があまり無い。
風力発電で風が吹かなければ発電できないし、太陽光発電で太陽光があまり当たらなければ発電できない。不安定だ。
かと言って石油石炭火力はエネルギー価格の変動を直にくらうし、脱炭素的に良くない。
どの発電方法も一長一短であり、脱炭素問題を解決することもなかなか難しい問題なのだ。
 
最後に発送電分離、新電力について。
電力システム改革の第3弾として、電気事業法が改正され、2020(平成32)年4月より、送配電部門の中立性を一層確保する観点から、法的分離による発送電分離が行われます。
これに伴い、一般送配電事業者・送電事業者が、小売電気事業や発電事業を行うことが禁止されます(兼業規制による法的分離)。また、適正な競争関係を確保するため、一般送配電事業者・送電事業者と、そのグループの発電事業者や小売電気事業者に対し、取締役の兼職禁止等の行為規制も課されます。
 
さらに、小売料金規制の経過措置について、対象事業者を指定する制度とし、適正な競争関係が確保されている供給区域では、経過措置の解除が可能となります。なお、制度の実施に向けた検証のプロセスで、課題が生じ法的分離の実施が困難になった場合には、一般電気事業者の送配電系統の計画や運用に関する機能のみを電力広域的運営推進機関に移管する「機能分離」の方式を再検討する可能性もあります。
 
へ?
この説明では分かりにくいので簡単に言うと、既存の電力会社のインフラが既に作られていて、新規参入の電力会社(再生エネルギーとかで生み出した電力とか)が売りたい時に、既存の電力会社のインフラを経由する必要がありますと、そこで既存の電力会社が新規参入の電力会社に不当にインフラ利用料金を吊り上げるなんてことをする可能性がある。
そこでそういった独占によって新規参入の電力会社の参入余地がなくなることを防ぐために、発送電分離が行われたというようなことであります。
 
まあ、これからは新電力とか新規参入の電力会社が入ってくるから、ただ独占の地位を濫用するだけで稼げるなんて時代は徐々に変遷を遂げていくから、色々考えて経営する必要があるよってことだ。
 
こういった原発問題、脱炭素問題、発送電分離、新電力あたりを踏まえた上で投資することも大事そうなので書いておいた。
 
 
皆様長らくお待たせ致しました。本題です。
〇電力株って今、投資タイミングなの?
 
→結論、もうちょい待ってくれ!
個人的にもうちょい待った方が良いかと思う。
なぜかと言うと、電力価格の上昇(価格転嫁)で得られるであろう利益>電力を生産するためにかかる費用(コスト)
これによって始めて利益が出るからだ。
 
次に出てくる3Q決算、この3Q決算は2Qまでの決算+10、11、12月分の経営結果が反映される。
では10、11、12月はどうだったかというと、為替が10月中旬に150円という大台をつけ、その後130円近辺まで下落していった時期だ。
関西電力の決算が見やすかったのでそちらによると、1円為替が円安に傾くだけで、電力を生産する上でかかる費用面で110億円ほど費用がかさむことが示されている。
つまるところ3Qは円安による費用高を一番くらった時期であるため、決算はかなり赤字をほったものになると考えられる
 
続いて先物原油価格を見てみる。2Qと比べて3Qは原油価格が下落しているのでプラス材料だ。
しかし、実際に原油取引で見るべきは原油輸入CIF価格だ。先物は先んじて動いているが、この原油輸入CIF価格は先物に比べて遅行して動いている
関西電力の決算書で先物原油価格は示されておらず、反対に原油輸入CIF価格が示されており、原油の調達にはこちらの価格で取引している可能性が高い。
この遅行している原油輸入CIF価格を見てみるとかなーり高止まりしている印象だ。
つまり、2Qとさほど変わらない調達コストがかかっている可能性が高い。
関西電力の決算書によると全日本原油CIF価格が1ドル上がるだけで37億円ほど費用がかさむことが示されている。
2Qと比べてさほど変わらないことを踏まえると3Qはそこそこ費用がかかっていることが考えられる
全日本原油CIF価格(JPY)
 
つまり次の決算3Qはかなり悪い決算が出ることが予想できる。
 
それ以降は原油価格も為替も円高に向かっていっているためどんどん決算が良い方向に進むことが予想される。
また、4月以降は電力価格を上げることが分かっているため、費用を超える利益を享受できるかもしれない。
 
ただ、4Qまでに黒字転換できるかどうかは怪しいところ。
そのため、もう少し様子を見て、大幅黒字が期待できそうな目途が立ち次第、買っていくのが良いと個人的に考える。
配当の発表による乱高下や思ったより調達費用がかかり、黒字転換には時間がかかるかもしれないからだ。
 
しかし、間違いなく電力株は良い方向に進んでいることは間違いない。
今後も注目して電力株は見ていきたい所存だ。
腰を据えて安値を拾っていくのも面白いかもしれない。