ちまおblog

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鉄鋼セクターの今後の見通し

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○日本製鉄3Q決算分析と4Q予測
日本製鉄の3Q決算は、通期予想が据え置かれたこと、配当が70円で2Qから代わり映えしないとのことで、あまり見栄えは良くない
しかし、決算の数字に目を向けると価格転嫁が反映された決算であることが分かった。

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ちょっと細々していて見にくいと思うがどうかお付き合い頂きたい。
まず、3Q単体で見ると、売上、営業利益(事業利益)、当期純利益は2Q単体よりも大きい。車減産や原燃料コストの高止まりがあったタイミングであったが、価格転嫁で対応し、好業績を出せていることが分かる。
 
会社の出した通期予想から3Qまでの累計額を引くと、どれくらいで通期予想を達成できるか求めることが出来る。この差額を4Q差額の欄で計算した。これを見ると、営業利益(事業利益)、当期純利益はかなり差額が小さく、必中で上方修正が4Qに出ることが予想できよう。ただ、売上が少し大変そうだ。現行の推移をたどれば達成できるが、トヨタの車減産がまた新たに発表されるなど、達成できるかは分からない。
 
続いて、4Q単体が1Q単体と同じ成績であったらを仮定して計算してみる。すると、予測累計額の欄のような結果が出る。これは売上は通期予想に届かないものの、営業利益(事業利益)と当期純利益は共に通期予想を軽く超える。この値でPERや配当予想をすると予想PERは3.1倍、配当は配当性向が27%で100円になることが考えられる。2Qの際、配当が55が70になったような事例が今回も起こりそうだ。これが起こるとなると現在の株価(1911)換算でいくと配当利回りは8.89%となり、なかなか高い利回りが期待できる。
 
いざ計算してみるとまた買いたくなってきましたbyちまお
 
○直近の懸念点など
・需給の悪化
やはり需給が良くない。1月始めに急騰したが、米国マーケットや急速な景気減速があるのではないかとの思惑などからまた下がってしまった。タイミングの悪すぎるレーティング引き下げも影響有。1/28時点で信用倍率40.01、買い残21,137.2千株。12月水準の需給の悪さに戻ってきてしまった。
 
・海外市況の軟調
少し軟調になりつつある海外市、PMIは鉄鋼需要とある程度相関がある
PMIが少し下げ始め、景気減速感もありちょっと雲行きが怪しい展開。
とはいえ、鉄鉱石や石炭は反発中。これは中国鉄鋼がまた生産に入ったことから反発している。もしかしたら良い傾向なのかもしれない。中国内需は以外とあるかも?
 
・株式市場の地合いの悪さ
金利上昇や、FRBの動向など相場が不安定であり、大きく売られたり買われたりしている。普通、金利上昇局面ではバリュー株は強いはずだが、素直に買われていない部分も見受けられる。中々ハイボラティリティーが続きそうだ。
 
○今後の見通し
鉄鋼市況に関してはやはり海外市況がどうなるかによる。米国や中国のPMIや、各国の大手鉄鋼メーカーの粗鋼生産量などを見つつ需要の堅調さを確認し続ける必要がありそうだ。
 
価格転嫁をすることのできる鉄鋼企業(日本製鉄、東京製鐵、JFEなど)は、ある程度の原材料高にも強く、価格転嫁で何とかなる問題であれば上手く問題を解決してくれると思われる。反対に価格転嫁に遅れるような企業だと、即座に対応出来ず稼ぐべきときに稼げなく、株価も振るわない結果になるかもしれない。
 
株式市場の地合い的に今は不安定な時期が続くが、中長期的に見ても鉄鋼は金利上昇局面に強く、バリューの時代が本格的にくるのであれば一層の上昇も考えられる。短期的にはボラティリティーの高い展開が続くため、警戒感を持ち続ける必要がありそうだ。
2021年は原燃料高を背景になかなか忙しい一年となった。この原燃料高が落ち着いてくれば、鉄鋼メーカーも安定して稼げる時期がくるかもしれない。バリュー黄金期の2005年から2007年は継続的に高い収益を鉄鋼メーカーが出し続け株価も大きく伸びた。
 
インフレがやや和らいで、業績相場が始まり、経済が安定的に成長すれば自ずと鉄鋼需要は拡大し、継続的な高収益体質を構築できる可能性がある。脱炭素を踏まえ、利益マージンをとっていかなければならない使命があるため、景気がFRBによってつぶされなければ、再度バリュー黄金期がきてもおかしくはない。一時的な好業績で終わるのか、あるいはこれからも好業績を継続的に出せるのか、すべては景気動向によって決まる。コロナ騒動もほぼ完全に織り込めば、新たな時代の幕上げがくるかもしれない。
 
今後のマーケットにおいて鉄鋼株は選択余地のあるセクターだ。引き続き注視していきたい。