銀行株の利鞘の本質を探ってみた
つまり長短金利差こそが一番大切である。
イールド・カーブという債権市場でよく使われている曲線を使って説明する。
この赤字が業務をすればするほど出る地獄がすぐには改善されなかった。これもリーマンショックを引き起こす原因の一つだったのかもしれない…。
だから現在では通常の銀行業務だけでなく富裕層向けビジネスや、ファイナンシャルプランナー的な仕事も増やし経営の多角化がすすんでいる。
つまり順イールドがフラット化しつつあるのだ。
フラット化は短期金利が上昇し長期金利が下落することを示す。厳密にいうと現在はフラット化ではないが、長短金利差が縮小を始めている。縮小すればするほど銀行株にとっては利鞘が減るので、逆風であることが言える。
〇ではなぜ利上げが始まると銀行株は上がりやすいと言われてきたのか?
結論、利上げの後にはすぐにQT(量的縮小)があるからだ。
QTが本格的に始まると長期金利が上がる。
これは歴史が物語っており、FRBスタッフがQTについての前提を設け、その際にFRBのバランスシート政策が10年債利回りのタームプレミアムにどのような影響を及ぼすかについて推計していることがわかった。その推計によると(図表3)、その会合から半年後にQTを始めて、5年以上をかけて2兆ドルの資産を圧縮する場合、10年債利回りを72ベーシスポイント(=0.72%)押し上げることがわかった。圧縮額を当時のGDPに換算して計算をすると、FRBがその証券保有額をGDP比で1%圧縮することに伴う10年債利回り押し上げ効果は6.5ベーシスポイントとなった。
つまり、長期金利はQT(量的縮小)によって上昇する。
QTは長期金利を上昇させるので、順イールド状態へと回帰させるチカラがある。この際、順イールドに戻ったらどうなるのか?
だから、利上げが起こるとそれはQTを投資家へ示唆させ、実際に行われると長期金利は上昇、そして銀行の利鞘が拡大、業績UPするこの流れが生じる。
この一連の流れを利上げが始まると決まってから超スピードで連想され、機関から買っていく。
結果的に株価は上がるのである。
よって利上げが始まると銀行株は上がりやすいと言われるのである。超スピードで連想ゲームが展開されているわけだ。
非常に面白い。
〇最近のFRBの動向
これにより最近は長期金利が超スピードで上げを記録し銀行株もそれにつれ立ち上昇した。
FRBの意図として機関筋ではQTの前倒し実施を推進する背景には、インフレの上振れや景気・労働市場の改善だけではなく、FFレートをFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者の直近の見通し通りに引き上げると、逆イールドが比較的長い期間にわたって続く可能性が出てきたことがあると予想している。
また、銀行業績にも配慮したり、膨張しすぎたバランスシートをそのままにしていると金融の専門家などから指摘されてしまう。こういったものもQTを前倒しでやろうとする理由に挙げられるだろう。
しかし、早すぎるQTは市場を驚かせ冷え込みかねない。ここら辺との対話が問われるわけで、最近パウエルは安心させるため、QTを行うには何回か話合った後実質するつもりだ。と市場と対話している。FRBはインフレ改善、バランスシートの改善、さらに株式市場にも配慮するなど多方面で大きな責任が問われている。
とはいえ、QTをしないとフラット化が進み、逆イールド状態が発生、銀行の業績に影響を与えかねない。よって近いうちに私はQTが行われ長短金利が上昇することを予想する。