日本製鉄、切るか、保有か?
【結論】
選択肢は二つある。
○直近の信用や需給による下げを回避するために利確or損切りを断行する
○長期で配当金を貰いつつ、再浮上&最高値を狙う
【直近の状態について】
日本製鉄は決算を受けて大幅下落した。
理由としてはいくつか考えられる。
①材料出尽くし
下期の業績予想を上期と比較して見ると、下がっている。この決算より鋼材価格はピークアウト。
鉄鋼の好業績は一時的とマーケットに見られた可能性が高い。
そもそも鉄鋼はシクリカル銘柄であり、好業績が一時的であるとの見方が一般的だ。
それによる売りが直近でもさらに出てくるだろう。
②株の需給が悪い
日本製鉄は過去最高の利益、そして社長、副社長、事業部長揃って上振れと前々から言っており、その事実を知った人達が短期的に株価が上がるだろう。と見越して信用買いがたくさん集まっていた。
しかし、CBの発行や岸田ショック、原材料高などで株価は低迷。
おかげさまで信用買いが利確出来ず溜まりに溜まってしまった。
信用買いが多いと株価の上値は重い。
よって短期的にはこれら信用勢力が一旦整理されるまでなかなか上がりにくく、株価は下がりやすいだろう。
③マクロ的懸念材料
歴史的な原燃料高の長続き、世界の鋼材価格の横ばいや下落などがこれに該当する。
急激な需要の回復、原燃料高を理由に世界の鋼材価格は急上昇した。
おかげさまで鉄鋼業は大きなマージンをとれたが、これが続いてしまうとインフレ懸念、お客様が困ってしまう。
よって世界や日本の鋼材価格は今後緩やかに落ち着いてゆくことが考えられよう。
また、中国も直近の鋼材価格は大幅下落している。これも懸念として注視する必要がある。
このような様々なマクロ的懸念から売られているとみることもできる。
こういった理由から短期的にはかなりの下げを覚悟する必要がある。
とくに信用で買っている方は現物と比べ、期限があるため厳しい局面となるだろう。
【決算説明動画を拝見して分かったこと】
日鉄副社長は、決算説明をする前にこんなことを語った。
『直近の決算が過去最高益になるのは素直に喜べることだ。しかし、この好決算を継続的に出す必要がある。具体的には在庫評価を除いた事業利益6000億円は今後も継続的に出す必要がある。今後、本格的に事業の選択と集中が進み、本格的にコスト改善をしっかりとやっていけばその実力はある。目指せる。』
日鉄としては今後更なる脱炭素、カーボンニュートラル実現のための投資を物凄い額をしなければならない。
よって日鉄としてはこの爆益を継続的に出す必要があると言っている。
過去との比較のスライドでは2014は原材料高などの懸念も少なく環境が良くて、多くの鉄を生産し、多くの利益を出せた。
しかし、今回は原材料高等、環境が悪いのにも関わらず、抜本的コスト改善、ひも付き価格是正、海外事業の拡充などで過去最高益を叩き出せた。
→これは素直に評価すべきところ
設備休止損に関しては2021がピークであり今後、減少していく。
また、今後は国からの脱炭素の支援も期待していると語った。
→脱炭素テーマで株が買われる可能性
転換社債については、更なる投資のためしっかりと財務体質を改善し、株主還元、業績、株価を上げていくと言った。
今回の決算予測では鉄鉱石価格の更なる下落、原料石炭は高値横ばいで下期を試算した。
→今後、原料石炭が急激に下がれば2Qと同じくマージンの確保につながるかもしれない。
懸念はあるものの、力強い決算説明会であったと個人的にみている。
【今後の戦略について】
短期目線なら損切りした方が良いです。理由は先ほどあげたものが理由。
長期で投資する場合、正直、将来の鉄鋼業に投資をするかという問題になってくる。
将来的に世界の鉄鋼業は脱炭素に向け、生産より一定量のマージンをしっかりととっていく体制になると考えられる。
日本製鉄を信じるか、ここが今後の決め手である。
この鉄鋼マージンバブル以降も、しっかりとマージンを確保し、事業利益6000億円をコンスタントにとりつづけることが予想できるか?
日本製鉄の決算説明動画では、日本製鉄が脱炭素のため、今後もコンスタントに事業利益6000億円をとり続けたいという意思が個人的に伝わってきた。
僕はここ数か月だけだけど、日本製鉄を調べ続けてきて、日本製鉄が従来の古臭いただのデカい企業から、本気で変わってこようとする意思、そしてその意思が反映された決算、実力を感じた。
脱炭素へ向け、本気で頑張る企業を応援する。そう思い、信じ続けた者だけが鉄鋼の株売却益を掴み取ることができるのではないだろうか。
よって僕は中長期で日本製鉄を持ち続けることを宣言しようと思う。
もちろん、2022で事業利益6000億円、達成できなければ諸々シナリオを考え直して損切りしないといけない可能性もある。
市況も悪くなるかもしれない。中国が安い鋼材を世界にバラマキして採算が悪化するかもしれない。円高が急に進んで利益をあげにくくなるかもしれない。
不安はつきません。人生と同じです。それでも本気で変わろうとする企業の将来を応援するのは悪いことではないのではないでしょうか?
日本株の個別投資で外国人投資家より優位性をとれるのは、調査に調査を重ねた日本人だけ。
日本製鉄の脱炭素の未来に賭けてみようと思う。
頑張れ日本製鉄!僕は応援してるぞ!!