ちまおblog

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銘柄研究:日本製鉄

日本製鉄の強み、魅力
 
・圧倒的価格転嫁力
日本製鉄の社長、橋本英二さんは原燃料高が本格的に起こることを予言し、日本鉄鋼連盟の鉄鋼企業経営者が集まる会議にて、価格転嫁の必要性を強く訴えた。
圧倒的怪物級のデカさを誇るトヨタへの価格交渉を成功させた実績がある。鋼材の国内大口需要家向け取引(ヒモ付き取引)について、価格決定前に出荷する現行の仕組みを改め、出荷前に価格・量を決める方式に改める→日本の古臭い商習慣にメスを入れることに成功。その他、鋼材についても機動的な価格転嫁を行い、鉄鋼新聞の記事にて値上げ報告が相次いだのは記憶に新しい。自動車向け鋼材、下期も追加値上げ方針→他の鋼材についても、下期以降も強気で行く姿勢を感じ取れる。
 
・社長が極めて優秀
日本製鉄の社長、橋本英二さんは日本鉄鋼連盟の会長でもあり、日本経団連副会長でもある。実力、たたき上げで日本製鉄の社長になる。
非常に芯が強く、発言力が凄まじい。橋本社長が社長に在任してから、抜本的な構造改革により、超スピードで国内、海外問わず赤字事業を潰す→収益性の大幅向上。また、日本製鉄の海外比率は上昇を強めている。僕は橋本社長のカッコよさに投資してるまである…。
 
・圧倒的事業規模×確かな技術
国内粗鋼生産量1位44%が日本製鉄製。世界では5位に君臨する。海外比率も年々増加中。今後は国内を縮小させ、鉄鋼需要が堅調な海外(特にインド、アメリカ)に拠点拡大。
最近、コロナを99%減少させる抗ウイルス鋼板を開発し、商品化を進めるなど、とにかく技術力が高い。世界70カ国で約25000件の特許を持つ。トヨタ訴訟でも二年前から分析をしていたなど、訴訟に関しても勝てると見込んでいる。技術力に定評がある。
 
懸念材料
アジアのコロナ感染拡大によるサプライチェーン寸断を原因とした3Qに顕在化するであろう車減産。これに関しては致し方ない。たぶん自動車向け特殊鋼、冷延板、熱延板などの売上数量が減るだろう。
・石油石炭等をはじめとした資源価格高騰。ただこれに関しては価格転嫁でどうにか出来る問題である。日本製鉄においては価格転嫁する力が強いため、これはそこまで深く懸念として捉える必要はないと個人的に考えている。
中国不動産デフォルトを巡る、中国の鋼材需要(特に建築系)激減。中国の鋼材価格は資源価格高騰や電力不足を背景に価格の高止まりが続いていたが、中国の石炭価格への上値への政府の規制から、また普通に生産できると見込まれ、直近の中国鋼材価格は下落傾向にある。このまま中国内需が減り、安い鋼材がアジア市況に流れると、日本製鉄が海外展開しているアジア市況での利益が見込みにくくなる。これは価格転嫁でどうこうできる問題ではなく、対応策がない。直近では政府による中国粗鋼生産を急激に減産。また、輸出への関税も強化している。上手く中国国内で中国の鋼材は消費していただきたい中国の動向は今後も詳しく見張る必要がある
 
セグメント事業比率

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鉄鋼85%、エンジニアリング(日鉄エンジニアリング、製鉄プラント、環境エネルギーなどを基に事業展開)7%、システムソリューション5%(日鉄システムソリューション、IOT、クラウド、DXなど幅広い産業に使えるITソリューションの提供)、ケミカル&マテリアル(日鉄ケミカル&マテリアル、ニードルコークス、半導体、電子産業部材などへ独創的な材料・部材の提供)4%
鉄鋼の具体的な構成比率は2020年度下記にて自動車向け30.2%、他産業向け33.2%、土木向け14.2%、建築向け21.6%。(twitterより参照)
2021年3Qは車減産より、冷板、熱延板の売上に響くか?9月時点ではまだ影響が粗鋼生産量では目立たず。冷板、熱延板の価格は2008を超え高止まり中。市況の在庫は少しタイト感緩和へ向かう。車減産が解消されれば、再び需要は堅調になり、市況在庫はタイト感の高まりが考えられる。

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日本においては自動車多め。海外においては実は土木・建築が比率高め。
東京製鐵は電炉が強く、電炉は土木・建築の鋼材を多く作る。2Qの爆益決算を見る限り、海外、国内共に堅調としていたため、日本製鉄においても海外の構成比率は土木・建築系の比率が多いため、かなり強い決算が期待できよう。
→価格転嫁がしっかりとできることを前提とする。

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事業ごとの国内、外国比率⤴

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国内6割、海外4割。今後は海外比率が高まってくる模様。
国内の粗鋼生産の44%を占める。
海外はASEAN、韓国、中国、台湾等アジアが7割を占める。今後はインド、米国の販路拡大をしていくらしい(中長期経営戦略)
9月の輸出は韓国向けが輸出好調、かなり期待できると日経新聞に書いてあった。
 
マクロ的視点による分析
エネルギーインフレ(原材料高)
2002(上げ始め)→2008(高値) 株価は2007、夏まで上昇
2010(上げ始め)→2012(高値) 株価はずっと下落
2020(上げ始め)→2021(高値) 株価は上昇後、直近は下落

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株価高値
1896(上げ始め)→1989(高値)
2003(上げ始め)→2007(高値)

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決算

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中国鋼材輸出

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2003(上げ始め)→2007(高値)

 

これらデータよりわかること
2003→2007では業績、株価、エネルギーインフレ、中国鋼材輸出、共に続伸
しかし、2008のエネルギーインフレが高値を付けた際には既に株価、業績、中国鋼材輸出は下がっていた
現在直近では、業績好調、株価は長期でみると回復傾向にありやや好調?エネルギーインフレ絶好調、中国鋼材輸出減産、中国粗鋼生産量も減りつつある
今回の中国鋼材輸出減産は国によるものであるため、世界のマクロ的な問題ではないかもしれない。理由としては北京オリンピックへの二酸化炭素排出量を抑え込む流れや中国不動産デフォルトラッシュによるものの説が高い。ちなみに中国の鉄鋼は50%が建材向けである。